のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
のび太は社会人として懸命に働いていた・・・
のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
思わず、曇り空に向かって呟いてしまった。
高校を卒業した後、僕は大学には行かなかった。確か、ドラえもんは僕が1浪して大学に行くと言ってたけど、大学は到底無理だった。
今僕が働いているのは、しがない中小企業だ。これも、ドラえもんが言っていたのとは違う。就職活動に失敗することもなく、起業することもなく、高校卒業した後に、いとも普通に就職をした。
……まあ、これが人生なのかもしれない。ちょっとしたことで、未来は変わるのかもしれない。
未来ってのは、なんとも脆いものなんだろうな。
会社での生活は、学校の時と何一つ変わらない。
毎日上司に怒られて、落ち込んで……
――だけど、あの頃と違うものもある。
ローカル線沿いにある小さな古いアパートが、今の僕の家だ。
実家から通うことも出来たけど、父さんも母さんももう歳だ。僕が独り立ちすれば少しは安心するだろうし、穏やかな老後を過ごすことが出来るだろう。
薄暗い部屋の電気を付ければ、1Kの小さな部屋に明かりが灯される。
部屋には必要最低限のものしかない。テレビ、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ……
寂しい部屋ではあるが、これが、僕の住まいだ。
誰もいない部屋の隅に鞄を置き、スーツのままボロボロの畳に寝転がった。
大人になったのび太の奮闘記…次に続く…!